田植えの時期になるとよく目にするのが『田んぼ一面に水を張った光景』。
馴染み深い景色であるものの〝田植えの水〟について考えてみると、
意外と知らないことが多いことに気付きます。
そこで本記事では、『田植えに必要な水の量や管理』について徹底解説いたします。
この記事はこんな方にオススメ
この記事を最後まで読んでいただければ、『田植えに必要な水の量や管理方法』の押さえるべきポイントを知ることができますよ!
田植えに興味を持たれた方や、これから始めたいという方、
稲作の水管理について疑問を持たれた方のお役に立てれば幸いです。
※いち早く内容を知りたい方は「目次」より読み飛ばして下さい。
田植えに必要な水の量はどのくらい?
田植えに必要な水の量は、ズバリ!
1株(かぶ)約300g/1日 ※真夏と過程
稲は一生の間に1株当たり約20kgの水を吸います。
一反(いったん)=10アールの田んぼの稲は
約6.5トン/1日の水を吸収し、一生の間に10アール当たり約400トンの水を吸います。
では、水位はどのくらい必要なのか触れてみましょう。
【田植えの水位】水の深さの目安について
田植え前~田植え時にかけて、約1~2cmほど田んぼをヒタヒタにしておくのが一般的。
理由は、
など。
田植え後は、約5~7cm(地域によって約10cm以上)を目安にやや深めにします。
何故なら、
・田植え直後の苗を寒さから守る
ためです。
ただし、苗が活着したら分けつを促したり、除草剤の効果を出すために浅水管理を行いますが、
地域や品種によっては〝過剰な分けつを抑えて穂になる割合を向上させる〟ため「深水栽培」をする場合があります。
ワンポイントアドバイス
田植えの水位がセンチメートル(cm)で分かりにくい場合は〝イネの葉耳(ようじ)〟を目安にするといいですよ!
田んぼに水を入れすぎるとどうなるの?
稲の生育には、水分不足は良くないですが水を入れすぎても障害を招きます。
深水にし過ぎると養分過多となり、稲の根や苗が損傷し生育障害を起こす場合があります。
良質な稲を育てるには、
・昼は浅水にして地面を太陽の熱で温め、
・夜は深水に戻し温めた地温を逃がさないようにする
のが理想的です。
田植えに多くの水を必要とする理由
一般的な米作りに使われているのが〝水稲(すいとう)〟といわれるイネですが、
この水稲は「水の多い環境に適したつくりと働き」を持っています。
特に、根は水のある環境に適しており、田んぼに水を溜めずに水稲を育てようとしても、水を吸う力が弱く枯れてしまいます。
そのため、田植えには多くの水を必要とするのです。
水を吸う力の強い〝陸稲(りくとう)〟もありますが、日本の地形や気候から水田が増え、
優れた稲作農業へと発展しました。
つまり、水田の発展には稲作についての合理的な考え方に基づく『水管理』が必要不可欠なのです。
田んぼの水はどこからくるの?
「田んぼの水はどこからくるのですか?」と聞かれたら何と答えますか?
私自身、子供から質問されたことがあります。
「川から流れてきた水が用水路を通って田んぼに入っていくんだよ。」
と答えたのですが、子供は分かった様で納得できていないような表情を……(-_-;)
間違ってはいませんが、説明が足りなかったんです。
というよりも私自身の認識が不足していたんです。
田んぼの水は〝山に降った雨〟が元!
雨が山の地面にしみ込み、谷あいで小さな川や湧き水になり地表にでてきます。
その間に、土や岩の中のミネラル(カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・カリウムなど)といった栄養分を溶かしこみ、
川を下って堰(水を止めたところ)に入ります。
また、ため池にたまってから棚田に入ったり出たりすることもあり、
そこから用水路に流れて田んぼに入って行きます。
田んぼの水は、地下にしみ込んだり排水路を通り、また川へ流れ出て行くのです。
ただし、市街地に囲まれた田んぼの場合は用水路を通じて水を引いていることもありますよ。
田植えの水張り時期について
田植えの水張り時期は、5月末から6月中旬が一般的に多く、その1~2週間前ぐらいに水を張ります。
ただし、地域や環境によって異なります。
【稲作の水管理】かけ流しってナニ?
「かけ流し」とは、稲作の水管理の一つで田んぼの中の水を常に入れ替えるように流し続けること。
目的は、稲作りでの作業で〝田んぼの水温を下げることができる〟からです。
水温が上がりすぎると稲はトラブルを引き起こしやすくなるため、温度を確認しながら行うようにすることが望ましく、
夏の暑い時期には高温障害のリスクを軽減するために、稲の体温を下げる目的として実施する方法の一つとなっています。
田んぼに水を入れっぱなしは良くない?
田んぼに水を入れっぱなしにすることは、稲の生育に悪影響を与える可能性があり良くありません。
稲作の水管理はとても重要で、気温や水温の変化によって適切なタイミングで入れ替える必要があります。
その代表的な工程として〝中干し〟があります。
水抜きの時期と方法について
「中干し」とは、田植え後に水を抜いて〝苗を強くする〟ための作業のこと。
田んぼから水を抜いて乾燥させることで、苗が根を張るために必要な酸素を取り込み、
土の中にある悪いガスを抜くことができます。
時期については〝種まきから85日目頃〟を目安に、夏の暑い盛りに田んぼの水を抜いて土にヒビが入るまで乾かします。
タイミングを誤るとどんな影響があるの?
まず「中干し」の効果は、
など、稲の成長を調節するために必要な作業です。
したがって、中干しのタイミングを誤ると稲の根が弱くなり、根腐れや倒伏などの被害が発生する可能性がでてきます。
田植えの水管理をする方法
田植えの水管理については〝朝晩水田を見回り、水の深さを調節する〟が基本ではありますが、
もう少し様々な視点から解説したいと思います。
田んぼの水路の名称や役割について
田んぼの水路には、
用水路・排水路・分水路、
給水設備・水門・取水口、
など様々なものがあります。
役割については以下の一覧表をご覧ください。
用水路 | 川やため池から引いた水を田んぼに供給する。 |
排水路 | 田んぼから水を排出する。 |
分水路 | 用水路から分岐して、複数の田んぼに水を供給する。 |
給水設備 | 用水路から引いた水を田んぼに供給する。 |
水門 | 水路の流れを調整する。 |
取水口 | 水位の調節に使う。 |
水不足が起こる原因とは?
稲作に関する水不足が起こる原因は、
・気候変動による降水量の減少:地球温暖化などにより、稲作に必要な水が不足する。
・水資源配分の問題:湖や河川の上流地域での過剰取水が起こり、稲作に必要な水が不足する。
・水質汚濁:水が使用できなくなり、稲作に必要な水が不足する。
などが挙げられます。
水不足に対する対処法や予防策について
稲作において水不足に対する対処法や予防策は、水の効率的な利用が重要です。
水田に貯めた水は蒸発や土中への浸透により水深が減少するため、水の浪費を防ぐことが必要です。
自動水管理システムとは?
稲作における「自動水管理システム」とは、水の効率的な利用を促進するために開発されたシステム。
このシステムは、水位計測値によって水の量を自動で制御することができ、
農林水産省が開発した〝多機能型自動給水機〟や、クボタが開発した〝ほ場水管理システムWATARAS〟などがあります。
これらのシステムは、スマートフォンやパソコンでモニタリングしながら、遠隔操作または自動で制御することができるという優れもの!
また、水の浪費を防ぐことができるため水の効率的な利用を促進することができます。
自動水管理システムのメリット&デメリット
そんな超便利な「自動水管理システム」にもメリットとデメリットありますのでまとめてみました。
以上のように、稲作において水管理の大切さは『水は命の源』と言えるほど大切なものなのです。
【まとめ】
本記事では、『田植えに必要な水の量や管理』についてご紹介いたしました。
田植えに必要な水の量は、
1株(かぶ)約300g/1日 ※真夏と過程
一生の間に1株当たり約20kgの水が必要です。
水の深さの目安については、
田植え前~田植え時にかけて、約1~2cmほど田んぼをヒタヒタにしておく。
田植え後は、約5~7cmを目安にやや深めにしましょう。
稲作において水管理の大切さは『水は命の源』と言えるほどとても重要なものです。
水管理にしっかり取り組んで、美味しい米作りを目指しましょう!!
ちなみに、自宅で手植えを体験したいなら「バケツ稲づくり」がオススメです!
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『田植えに必要な「水の量」を徹底解説!水管理の謎を解く合理的な考え方』を、最後までお読みいただきありがとうございました。
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